by Seiko watch design

JPEN
晴れ男専用腕時計

担当デザイナー

石原

石原悠

2003年、セイコーインスツル入社。2014年よりプロスペックスやグランドセイコーのウオッチデザインを担当。2022年、セイコーウオッチに転籍。現在はデザイン開発チームのデザインディレクターとして、開発・デザインを担当している。

アイデアの起点

太古れへの憧憬

如何に「気持ちの良い時の流れ」を表現するか、それこそが時計デザインの世界観を決めると言っても過言ではない。私が思いを馳せたのは、日の出と共に目覚め日沈と共に眠る、太古の人々の暮らし。その自然との連動・調和こそが、現代において「最高に贅沢な時の流れ」なのではないだろうか?
私は考えた。現代人が、太古の人々のような心地よい時の流れを感じることはできないか?そして眩しい太陽の下で、太陽がもたらす時の流れだけを目安に一日を過ごす「晴れ男専用腕時計」にたどり着いた。明るく燦燦と輝く太陽の下、その影だけが時の流れを感じさせる。気持ちよく吹き抜ける風、微笑む太陽、何と素晴らしい時の過ごし方であろうか!曇り?雨?そのような言葉は意味を成さない。何せ「太陽に愛されし者、晴れ男」に捧げるのだから。


日時計の歴史日時計の歴史
「日時計」は約6000年前、「水時計」は約3600年前、「機械式時計」は約750年の歴史を持っていると言われている。(※諸説あります)

専門家の声

世界初超複雑機構腕時計
「Kodo」設計者 川内谷卓磨さん

世界初の超複雑機構を持つ腕時計「Kodo」設計者  川内谷卓磨さん

日時計ですか!人類最古の計時方法ですね。でも正確な時刻を示すにはクリアすべき条件も多いですよ。なるほど、変形するんですね!水平も出せる、ダイヤルの盤面の角度も変えられるし左右にも回転できる、季節に対応してケース自体も向きが変わる?均時差も考慮に入れたら、全部入りの超高精度時計じゃないですか!…ところでこれ、晴れないと意味なくないですか?…晴れ男専用?私雨男なんですけど。では、雨男のみなさんにはやはり私が考案した、正確なKodoを着けてもらって(以下略)。

アイデアの具現化

よ、その
可変式天文台を。

この晴れ男専用腕時計は一見、金属のカタマリのような外観であるが、それは仮の姿。このプロダクトは変形することで、「-1.58ミリ秒、年差換算で-0.58秒」という高精度な天体本来の動きを観測する「小さな天文台」になるのだ。

円錐形のケースの上部にある円形の文字盤は、実はフタ状になっている。文字盤を持ち上げることでケース部分が立体的に立ち上がり、その姿を一気に変容させていく。開かれたケースに収められる小さな金属棒が「影棒」(指時針)。この「影棒」を文字盤の中央に差し込む。
天球上の太陽の軌跡が緯度によって変化するため、正確な時刻を知るためには、影棒を正しく北極星に向ける必要がある。 その設定のために目安として北緯25°35°45°を想定した「固定用の溝」が施されている。
開かれたケースの内部に配置されている小型の「水準器」を使用することで、ケースの本体(土台部分)を水平に保つことができる。測定に誤差が出る要素を徹底的に排除するために搭載された機能だ。
当然ながら日時計においては「経度」の設定が必要不可欠だ。文字盤を回転させることで、経度(=標準時基準地点との時差)を調整。日本国外でも日時計として正確な時刻を指し示すことができる。
こちらが回転によって「経度」を調節する文字盤の裏面。使用する季節によっては、表面ではなくこの裏面に「影棒」の影が落とされ、時刻を指し示すことになる。
季節(暦)によって日時計の上部全体を180°回転させる。腕に装着したまま日時計を一年中読むためのこだわりだ。

専用腕時計

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