by Seiko watch design

JPEN
両利き専用腕時計

担当デザイナー

伊東絢人

伊東絢人

プロダクトデザイン事務所、情報機器メーカーにて家電や家具、雑貨、情報機器などのデザインを手掛けたのち、2018年セイコーウオッチに入社。現在はアストロンのデザインをメインに担当している。

アイデアの起点

ボウリングで、

腕時計右手えた。

運命のあの日、私は友人とボウリング場にいた。彼は、腕時計を左手に着けていた。次の刹那、彼は時計を右手に着け替え、左手でボールを投じた!10本のピンが弾けるより先に、私の脳に強い衝撃が走った。右利きは左手に腕時計を、左利きは右手に腕時計を着ける。そんな固定観念が打ち砕かれた。そして自問自答した。腕時計を着ける手は、人間の「思考や能力や、行動」に大きな影響を与えるのではないのだろうか? 外部環境と人間の能力の発揮は、どちらが原因でどちらが結果なのか。「左右どちらに時計を着けるか?」と「右脳と左脳の働かせ方」の関係とは?おそらく、その関係はニワトリと卵。すなわち、両利き用にデザインしたこの時計は、同時に「両利きの人にとっての自身を革新するための装置」ともいえよう。


右脳左脳右脳左脳

専門家の声

脳内科医医学博士 学校代表
加藤俊徳さん

脳内科医・医学博士 脳の学校代表 加藤俊徳さん

私は元々左利きでしたが、4歳の頃から書字を左から右に変更して以来、何をするにも、利き手を意識する生活をしてきました。20代になって、初めて時計を選んで買おうとしたときに、「アレ、時計って、どちらの手に着けるもの?」と疑問に思ったことを記憶しています。
腕時計は着ける人の動きを制約しますが、クロスドミナント仕様の腕時計の提案は、「脳番地をまんべんなく使う」という、私の提唱する脳番地トレーニングの考え方に矛盾していません。腕時計は時間を読む行為などで、記憶系、理解系、視覚系、運動系の脳番地を刺激します。さらに、時計を着ける側が違うだけで脳の使い方が変わります。腕時計を着けた逆の手を使うことにより、使う脳番地が変化するのに加えて、腕時計を着けた側の手にも注意が向きます。また、腕時計の色や形の印象が変わることで、着け換えへの認識が明確になり、脳への刺激効果があります。
本作品は、メタファーとしての造形の切り替えもアイデアに富んでいます。本来、昔から存在してもよかった腕時計という印象です。クロスドミナントの人は思考が深くなりやすい傾向が強いと感じますが、この腕時計を身につけることで、「すごい脳の使い方」に近づけるかもしれません。

アイデアの具現化

世界初
きの
ウオッチのデザインにめたい。

この時計は「左右兼用」ではなく、「両利き専用」である。この異形なる腕時計が、あなたの右脳と左脳、そして美意識を強く刺激することを願う。

時計を右手に着けた時と左手に着けた時では、ダイヤルを見る角度が変化する。その視線の違いで、目に映るダイヤルの色が変化するのが、この「両利きウオッチ」の特徴である。
この「両利き専用ウオッチ」を、右手に着けた時の見え方。鮮やかなホワイトの文字板で、ケース外側は美しい金属色。12時の略字や、三角形の尖った針も特徴的だ。
左手に着けた時の見え方。ダイヤルカラーは一転、引き締まったブラックに様変わりする。統一感はありつつ、針や略字の印象が大きく変化。使う人の思考回路も切り替えてくれそうだ。

専用腕時計

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