これからダイヤは、もっと「日常を輝かせるもの」に。
ダイヤモンドという最高の素材を使って、ラグジュアリー感あふれる時計を作ることも私たちの喜びですが、日常の中に溶け込んで、毎日を輝かせていく「普段づかい」の時計をデザインしていくことも大切だと考えています。世の中の意識も、今では必ずしも「ダイヤが入っているから、ハレの日のための時計」という感じではなくなってきていますからね。
とはいえ、あまりにも宝石の存在感が強いものは、会社などにはつけて行きにくいだろう。そんな考えもあって、数年前に私がデザインしたのがこの時計(品番GSWE857)です。時計の外周全体ではなく、右半分にだけダイヤモンド。「三日月」という商品のコンセプトも理由の一つではあるけど、全体ではなく部分的にしかダイヤが入っていないことで、「特別な日じゃなくても、特別な場所でなくても身につけやすい時計」をデザインしたいと思ったんです。




セイコー ルキアでは、ダイヤモンドを一粒だけ埋め込んだデザインの製品を展開しています。さりげなくダイヤルにダイヤモンドが入った時計を身につけることで、気分が高まる。やっぱり、そういう感覚ってあるんだと思います。


私たちが、ダイヤの可能性を追求しつづける理由。
私たちは、ジュエリーメーカーではなく、時計メーカーです。ダイヤモンドはそれ自体がすでに美しいものでもあるけれど。実用品である時計につけられたダイヤには、指輪やネックレスなどの純粋な宝飾品とはまた違う、独自の魅力や意味があると思っています。それは、さっき話した「もっと、普段の生活にもダイヤ入りの時計を」ということでもあるし、それ以外にも、それこそ無限の可能性があると思っています。
別に「ダイヤだから凄い」とか、そういうことではなくて。時計に使う素材の中で、最も美しいもののひとつであるダイヤモンドを、どう最大限に活かすかを考える。そして、身につけた人をどんな気持ちにさせることができるかを想像する。その大前提は、これからもずっと変わりません。時計をデザインする人間として、ダイヤモンドを使った時計の新しい価値観や感動を、これからもどんどん示していけたらいいなと思っています。

