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Vol.38 その人生に、華やかな祝福を。女性の生きかたを花に見立てた、セイコー ルキアのデザイン。 Vol.38 その人生に、華やかな祝福を。女性の生きかたを花に見立てた、セイコー ルキアのデザイン。

HomeStoriesVol.38 その人生に、華やかな祝福を。女性の生きかたを花に見立てた、セイコー ルキアのデザイン。

ブランド30周年を迎えたセイコー ルキア。2023年から展開している「LUKIA Grow」コレクションのデザインやブランドの未来への想いについて語ります。

2025年にブランド30周年を迎えたセイコー ルキア。誕生以来、時代に寄り添う心地よいデザインで、自分らしさを大切にする女性たちのライフスタイルを彩り続けてきた。そんなルキアが2023年から「LUKIA Grow」コレクションを展開。花をモチーフとしたそれぞれのテーマに込められた思いや、それらを腕時計のデザインへ落とし込んでいったプロセスについて、3人のデザイナーが語ります。

※ブランド30周年にあたり、イラストレーターのmashuさんに、ルキアの各モデルをイメージした素敵なイラストを描いていただきました。

(左)田中るみ | Rumi Tanaka 1989年、セイコーインスツル入社。2002年よりセイコーウオッチ所属。現在はセイコー ルキアのデザイン・ディレクターとして活動している。好きなお花はカラーリリー、真白なむくげ。
(中)河西由美|Yumi Kasai 1988年、セイコーインスツル入社。2015年よりセイコーウオッチへ出向し、2022年よりセイコーウオッチ所属。現在はセイコー ルキアのデザインを担当している。好きなお花はミモザ。
(右)石井菜月 | Natsuki Ishii 2019年、セイコーウオッチ入社。現在はセイコー ルキアのデザインを担当している。好きなお花はアンスリウム。
(左)田中るみ | Rumi Tanaka 1989年、セイコーインスツル入社。2002年よりセイコーウオッチ所属。現在はセイコー ルキアのデザイン・ディレクターとして活動している。好きなお花はカラーリリー、真白なむくげ。
(中)河西由美|Yumi Kasai 1988年、セイコーインスツル入社。2015年よりセイコーウオッチへ出向し、2022年よりセイコーウオッチ所属。現在はセイコー ルキアのデザインを担当している。好きなお花はミモザ。
(右)石井菜月 | Natsuki Ishii 2019年、セイコーウオッチ入社。現在はセイコー ルキアのデザインを担当している。好きなお花はアンスリウム。

女性は、成長していく花である。

田中:2023年から始まった「LUKIA Grow」というコレクションは、しなやかに成長していく女性を花に見立て、その女性が美しく花開くことを思い描いています。

河西:この「LUKIA Grow」、年ごとにテーマがあるんですよね。2024年は自分らしく美しく開花していく女性を描いた「Blossom」、ルキア30周年の2025年は、一人ひとりが自分の魅力を開花させてほしいと願いを込めた「Flower Garden」となっています。LUKIA Growを手に取ってくださった方が、しなやかに成長して美しく開花し、色とりどりの花を咲かせるように、一人ひとりが自分の魅力を開花させて欲しい、そんなストーリーになっています。

田中:当初は、このようにストーリーを描くことは考えていなかったんです。ただ、初年度の「Grow」がとても好評だったこともあって。コレクションを通してストーリーを展開すれば、それがお客様自身のストーリーとも重ねられていくので、いいんじゃないかと考えました。

石井:「花」をモチーフとしたコレクションであることも特徴ですよね。バリエーションが出しやすく、デザイン展開もしやすい。そのため、いろんなタイプの女性に「これは私のモデルだ」と感じてもらえるウオッチを提供できるのではと思っていました。

甘すぎず。大人っぽく。カラーリリー

河西:初年度の「Grow」を担当したのは田中さんと石井さんでしたよね。
石井:はい。「Grow」ではモチーフのひとつにカラーリリーを採用しました。お花の種類はいくつか候補があったんですけど、大人っぽさや、凛とした美しさみたいなものを意識しました。

SSVW205と白いカラーリリーの妖精
SSVW205と白いカラーリリーの妖精。「腕時計にも表現されている、丸みを帯びた柔らかな輪郭や葉脈の線。それらを衣装デザインに落とし込みました」(mashu)
SSVW205と白いカラーリリーの妖精
SSVW205と白いカラーリリーの妖精。「腕時計にも表現されている、丸みを帯びた柔らかな輪郭や葉脈の線。それらを衣装デザインに落とし込みました」(mashu)

河西:「SSVW205」は、まさに「カラーリリーと言えばコレ!」、というカラーリングですね。

白いカラーリリーの凛とした佇まい
白いカラーリリーの凛とした佇まいを、再現度高くデザインに落とし込んでいる。
白いカラーリリーの凛とした佇まいを、再現度高くデザインに落とし込んでいる。

石井:そうですね。ダイヤルは白をベースに、中心部は黄色いグラデーションを使ってカラーリリーの色合いを表現しました。どんなファッションにも合わせやすいカラーリングになっていると思います。

田中:カラーリリーをモチーフにしたもうひとつのモデル「SSQW072」は、新コレクションとして今までにない色を入れたいという話になり、白蝶貝にピンクブラウンのダイヤルを試してみたんです。これが思いのほか良くて、社内の女性にも大好評でした。

SSQW072とブラウン系のカラーリリーの妖精。「しなやかさとスタイリッシュさを併せもつ女性像をイメージしました。上に向かっていくような伸びやかなポーズがポイントです」(mashu)
SSQW072とブラウン系のカラーリリーの妖精。「しなやかさとスタイリッシュさを併せもつ女性像をイメージしました。上に向かっていくような伸びやかなポーズがポイントです」(mashu)

石井ケースの縁も思い切ってピンクゴールドを採用していますが、意外と甘くなりすぎず、洗練された落ち着きが感じられて新鮮でした。ルキアとしては珍しいカラーリングになりましたが、いいデザインにまとまったかなと思います。

田中:そろそろピンクゴールドは年齢的に合わないと感じてくる世代へ、大人っぽいピンクゴールドの使い方の提案になったようで、かなり人気が出ました。

石井:細かいところでは、ダイヤルの左上と右下に花びらの線をイメージしたラインを入れています。また、りゅうずの形もつぼみから開花するようなデザインになっています。

世代によっては敬遠されがちなピンク系のカラー
世代によっては敬遠されがちなピンク系のカラーも、この配色ならトライしてみたくなる女性が多そうだ。
世代によっては敬遠されがちなピンク系のカラーも、この配色ならトライしてみたくなる女性が多そうだ。

河西:このりゅうずのデザイン、すごく斬新だと思いました。まさに「Grow」を象徴するようなデザインですよね。

田中:実は最近、姪にルキアを買ったんですけど。それがまさに「Grow」のトノー(樽)型のモデルで。それをつけて彼女らしく成長していってくれたらうれしいなと思います。

フレッシュと、ラグジュアリーと。ピオニー

田中:2024年は「Blossom」をテーマにデザインを展開しています。開花ということで、みずみずしく咲くピオニー(芍薬)の花を当初からイメージしていました。「SSQW081」は、それを象徴するモデルになったと思います。

SSQW081とパープルピンクのピオニーの妖精。「これから花開いていく予感を、舞台に立つ前の身支度シーンで表現しています。髪飾りには、雫をイメージした丸いパールを」(mashu)
SSQW081とパープルピンクのピオニーの妖精。「これから花開いていく予感を、舞台に立つ前の身支度シーンで表現しています。髪飾りには、雫をイメージした丸いパールを」(mashu)

河西:たしかに、ケースの丸みを帯びたフォルムだったり、バンドの先端部分が外に開いていたり、フォントも「Grow」のときより角度をつけて開花したデザインになっています。いろんなところにピオニーを思わせる要素が散りばめられていますね。

ピオニーの開花を表現したバンド先端の開き。デザイナーのセンスと遊び心が光る。
ピオニーの開花を表現したバンド先端の開き。デザイナーのセンスと遊び心が光る。
雫(しずく)は英語でdrop。セイコー ルキアが独自に命名したこの「ドロップダイヤル」は、ピオニーのみずみずしさを表現する上で最適なダイヤルと言える。
雫(しずく)は英語でdrop。セイコー ルキアが独自に命名したこの「ドロップダイヤル」は、ピオニーのみずみずしさを表現する上で最適なダイヤルと言える。

田中ダイヤルには、ふっくらとした雫(しずく)のような形状の「ドロップダイヤル」を採用しました。このために関連部門と開発を進めてきましたので、それがテーマを具現化するような商品づくりにつながって良かったです。

石井:この「SSQW081」が朝の光のなかで咲くピオニーだとするなら、もうすこしジュエリーテイストなものをということで開発された「SSWA002」は、ちょっと日が落ちてきた、夕方の光のなかで咲くピオニーのイメージです。

SSWA002とウォームピンクのピオニーの妖精
SSWA002とウォームピンクのピオニーの妖精。「腕時計の華やかで艶やかな印象から、パーティーに出かける前のメイクシーンを描きました。衣装はダイヤルを思わせるフリルのようなデザインに」(mashu)
SSWA002とウォームピンクのピオニーの妖精。「腕時計の華やかで艶やかな印象から、パーティーに出かける前のメイクシーンを描きました。衣装はダイヤルを思わせるフリルのようなデザインに」(mashu)

河西:この、アナログクオーツだからこそ実現できる小さなサイズ感がいいですよね。

SSWA002
まるでジュエリーのようなその佇まいは、華やかな場のドレスコードにマッチしてくれることだろう。
まるでジュエリーのようなその佇まいは、華やかな場のドレスコードにマッチしてくれることだろう。

田中:今回はアナログクオーツによる小ぶりな形状やダイヤルの美しさを優先し、ジュエリー感を高めたものをラインアップに加えました。これまで主にソーラー電波で展開していたルキアの、商品の幅を広げることにもつながりました。

節目を彩る、祝福のエレメントたち。

田中:ブランド30周年を迎えた2025年のテーマは、「Flower Garden」です。このテーマは、前年「Blossom」をテーマに掲げたときからすでに構想していたんです。

石井:「それぞれの女性が自分らしく花を咲かせてフラワーガーデンになる」というストーリーは、30周年というお祝いのタイミングにもすごく合っていると思いました。「SSQW091」は、まさにそのストーリーを象徴的に表していますよね。

SSQW091と、ブランド30周年を祝福する3匹の蝶や花々。「妖精のリボンはルキアの赤で統一しつつ、袖や髪型・色味で個性を描き分けています。また、4人が輪になることで一つのお花に見える仕掛けも」(mashu)
SSQW091と、ブランド30周年を祝福する3匹の蝶や花々。「妖精のリボンはルキアの赤で統一しつつ、袖や髪型・色味で個性を描き分けています。また、4人が輪になることで一つのお花に見える仕掛けも」(mashu)

田中:6時位置に埋め込まれているダイヤの台座がお花の形をしているのですが、そこからお花が舞い上がっていく様子を、ダイヤル上に「隠し印刷」した様々なお花のシルエットで表現しています。実は裏テーマとして、30周年を迎えたルキアがここからまた花開いていく、というストーリーも重ねているんです。

光の加減で浮かび上がる、さまざまな花のシルエット。数字の12や秒針の色は、ブランドカラーであるルキアレッドを採用。
光の加減で浮かび上がる、さまざまな花のシルエット。数字の12や秒針の色は、ブランドカラーであるルキアレッドを採用。
限定版のSSQW094は、毎月30日が楽しみになりそうな、ハートのカレンダー表示。
限定版のSSQW094は、毎月30日が楽しみになりそうな、ハートのカレンダー表示。

石井:他にも30周年の要素はいろんなところで表現しています。限定品として開発した「SSQW094」では、3匹の蝶(6時位置に2匹、カレンダー上部に隠し印刷で1匹)が羽ばたいていますし、30日になるとカレンダー表示にハートが現れる仕様になっていて。ここって普段はデザインする領域ではないので、まさか提案した案が実現するとは思いませんでした。

河西:「SSWA012」は、ルキアで10年以上のロングセラー商品(SSVW214)のデザインをベースにしているんですよね。

SSWA012とクローバーの妖精。「腕時計を目にしたときの高揚感を、妖精たちの無邪気さで表現しました。一人ひとりの個性の違いは髪型で描き分けています」(mashu)
SSWA012とクローバーの妖精。「腕時計を目にしたときの高揚感を、妖精たちの無邪気さで表現しました。一人ひとりの個性の違いは髪型で描き分けています」(mashu)

田中:はい。2011年に登場して以降、常に人気のソーラー電波モデルを元にしています。視認性がよく、見るたびにハッピーな気持ちになれるそのデザインを、クオーツならではのジュエリー感のあるミニサイズで展開しました。こちらはHappy Collectionとして展開しています。

放射状に波打つ型打模様。まるでハッピーオーラが広がっていくかのようなデザインだ。
放射状に波打つ型打模様。まるでハッピーオーラが広がっていくかのようなデザインだ。

河西ダイヤルベースは、リラックス感のあるペールトーンのカラーと、開花しているような型打模様で輝きと質感を演出しています。1時と7時の位置にはダイヤをつけて特別感を演出しています。この台座をはじめインデックスりゅうずも、幸福の象徴である四葉のクローバーをイメージしています。

裏ぶたに舞う3匹の蝶。30周年のお祝いエレメントは、こんなところにも。
裏ぶたに舞う3匹の蝶。30周年のお祝いエレメントは、こんなところにも。

成長し続ける。女性も、ルキアも。

河西:ルキアは人生の節目で出会うことの多いブランドだと思います。30年続くブランドなので「昔、母がルキアを付けていて、とても印象に残っています」とか、「親子で使っています」というエピソードもよく耳にします。そんなふうに親から子へと受け継がれる、また娘と母で共有してもらえるような、「世代の架け橋」になる色あせないブランドにしていきたいですね。

田中:私がセイコーに入社したいと思うきっかけになった広告が、ウオッチをとても大人っぽく見せていたんです。それを見たときに、時計を手にすることは「大人になったな」と感じる出来事のひとつだと思うようになりました。私があのとき感じたワクワク感や憧れのようなものを、これからルキアを手に取る人にも、ぜひ提供し続けていきたいです。

石井:私の母は、私がデザイナーになって初めてデザインしたルキアのウオッチを買ってくれました。ただ、いろいろ理由をつけてあまり身につけてくれなくて(笑)。今後は、母というひとりの女性に寄り添うウオッチもデザインしたいというのが、密かな目標になっています。

田中:いいですね。ウオッチって「腕」につけるものではあるんですけど、同時に「心」につけるものでもあると、最近改めて感じています。ルキアはコレクションを複数展開しているので、ぜひ自分の心に似合うデザインを見つけて、人生の相棒にしていただけたらうれしいです。

セイコー ルキア打合せ30周年記念スペシャルコンテンツ
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