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Vol.2 異名を持つ時計たち。 Vol.2 異名を持つ時計たち。

HomeStoriesVol.2 異名を持つ時計たち。

さらに、デザイナーの視点で商品を見つめると。

——それぞれの時計について。デザイナーの視点で見て、他に思うところ。

文珠川:「TUNA-CAN」と呼ばれている外プロテクターつきダイバーズは、すごくシンプルな形状。子どもに「腕時計を書いてごらん」というと、ベルトに丸が付いている絵を書きますよね。つまり、腕時計のアイコンのような印象を持っているんです。
岸野:セイコーに入社した男性デザイナーの多くが、まず欲しくなる時計です。実際に僕も先輩が付けているのを見て、一目惚れして自分でもすぐに手に入れました(笑)。無骨で単純にかっこいい。計器や道具のような存在感が男心を鷲掴みにします。

時計のツナ缶を腕につけた写真
この「TUNA-CAN」と呼ばれている、外胴プロテクター付ダイバーズウオッチのデザインからは「シンプル」「無骨で単純」「計器や道具のような存在感」など、さまざまな印象を受ける。
時計のツナ缶を腕につけた写真
この「TUNA-CAN」と呼ばれている、外胴プロテクター付ダイバーズウオッチのデザインからは「シンプル」「無骨で単純」「計器や道具のような存在感」など、さまざまな印象を受ける。

文珠川:「MONSTER」と呼ばれているこのモデルの回転ベゼルの凹凸は、デザインでもあり、機能でもある。実際にそのベゼルが「回しやすいか」はもちろん、「回しやすそうか」も重要です。そう思いながら回すと、「回しやすい」と脳が判断する。僕たちは、そういうことも考えてデザインします。
異名を持つ時計には、そのデザインの方向性を保ちつつ、派生系ともいえる製品が世に送り出されているものも多くあります。
岸野:1975年に生まれた、自動巻メカニカルムーブメント6159を搭載した飽和潜水仕様600m防水ダイバーズを起点とする外プロテクターつきダイバーズの流れは、今でも続いていますね。時代とともに素材や構造が少しずつ変化しているけれど、大枠は変わらない。「MONSTER」と呼ばれているモデルも、その派生系が多いですね。そして、「オレンジモンスター」とか、「フランケンモンスター」とか…、色々なニックネームで呼ばれ親しまれているみたいです。

3つのダイバーズウオッチの写真(品番YAQ028)(品番SUN019)(品番SBDN043)
1975年発売の初代の外胴プロテクターつきダイバーズ(左)を原点として。キネティックGMTムーブメントを搭載したモデル(中)さらにはタウンユース向けにアレンジされたソーラー駆動方式モデル(右)、など。時代の流れとともに変化を加えつつも、その特長的なフォルムはしっかりと受け継がれている。
3つのダイバーズウオッチの写真(品番YAQ028)(品番SUN019)(品番SBDN043)
1975年発売の初代の外胴プロテクターつきダイバーズ(左)を原点として。キネティックGMTムーブメントを搭載したモデル(中)さらにはタウンユース向けにアレンジされたソーラー駆動方式モデル(右)、など。時代の流れとともに変化を加えつつも、その特長的なフォルムはしっかりと受け継がれている。
「ブラックモンスター(品番SKX779)」「オレンジモンスター(品番SKX781)」「フランケンモンスター(品番SKZ247)」の写真
2000年に登場した「ブラックモンスター」(左)と「オレンジモンスター」(中)は、そのカラーリングがニックネームに反映されている。2008年発売の「フランケンモンスター」(右)は、各種パーツの組み合わせが「つぎはぎ」を想起させる。個性を滲ませつつ、どの怪物も力強さと怪しさを醸し出している。
注)「 」内は全てニックネーム
「ブラックモンスター(品番SKX779)」「オレンジモンスター(品番SKX781)」「フランケンモンスター(品番SKZ247)」の写真
2000年に登場した「ブラックモンスター」(左)と「オレンジモンスター」(中)は、そのカラーリングがニックネームに反映されている。2008年発売の「フランケンモンスター」(右)は、各種パーツの組み合わせが「つぎはぎ」を想起させる。個性を滲ませつつ、どの怪物も力強さと怪しさを醸し出している。
注)「 」内は全てニックネーム

文珠川:自分がデザインを担当したものでは、「ベビーツナ」と呼ばれているものがあって。これ、ダイヤルベゼルのディテールは「MONSTER」と呼ばれているモデルをベースにしているけれど、その外側は分厚い“外”に覆われているんです。平たく言えば、ことなる異名を持つ2つの時計の「ハーフ」のようなもの。それぞれの時計の「いいとこ取り」をしたい、という思いでデザインしました。このデザインは思った以上に好評でした(笑)。

「ベビーツナ(品番SRP227)」の写真
セイコー・スーペリアのカテゴリーで開発された200m防水ダイバーズSRP227は、SKX77をベースに外胴ダイバーズの特徴を掛け合わせた「いいとこ取り」のデザイン。通常の外ダイバーズより小ぶりなので「ベビーツナ」と呼ばれる。(文珠川私物/SRP227をベースにカスタマイズ)
「ベビーツナ(品番SRP227)」の写真
セイコー・スーペリアのカテゴリーで開発された200m防水ダイバーズSRP227は、SKX77をベースに外胴ダイバーズの特徴を掛け合わせた「いいとこ取り」のデザイン。通常の外ダイバーズより小ぶりなので「ベビーツナ」と呼ばれる。(文珠川私物/SRP227をベースにカスタマイズ)

個性があるデザインだからこそ、愛着が生まれる。

文珠川:セイコーでニックネームが付けられている時計は、ダイバーズウオッチが多い。これは、頑丈に作られていて、なかなか壊れないからというのもあると思います。長く付き合うことができるから、人生のパートナーのような存在。だから、あだ名が付けられやすいのだと思います。
岸野:「こういう名前で呼ばれる時計を作ろう」という発想はないけど、デザインした時計が結果としてニックネームで呼ばれることは嬉しいことです。人間でも、何らかの個性があるからこそ、ニックネームがつけられます。無個性だとニックネームがつきにくい。さらにいうと、ニックネームをつけられるのは、その個性に愛着を持たれているからだとも思います。
文珠川:結果的に異名がつくかはさておき、使う人の傍にいて面白さや感動をあたえられる、そんな個性を持った「愛されるデザイン」を生み出していきたいですね。

文殊川と岸野の写真
「異名を持つ時計」のデザインについて語り終え、その意欲は次なるクリエーションへと向かう。
文殊川と岸野の写真
「異名を持つ時計」のデザインについて語り終え、その意欲は次なるクリエーションへと向かう。
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