by Seiko watch design

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Archive Collection 8

若者たちをターゲットに。
どんな新しいデザインを生み出すか?

商品開発のスタートは1998年。若者向けの新ブランド開発を目指し、プロジェクトは動き出した。当時、セイコーを含め、世の中には若者がターゲットのウオッチが多く存在していた。「それでもまだ新しいデザインの可能性を感じていたし、提案性の高いものが求められていました」と、デザイナーのひとりとしてチームに参加した平松維実は当時のことを述懐する。「そして早い段階で決まったのが、同じ若者でも、クリエイター志向の若者をターゲットにするということでした」

1999年に発売された「h-timetron(エイチ・タイムトロン)」。「親しみ」と「テクノロジー感」という、相反する2つの要素を意識してデザインされた。

検討の結果、「ドットマトリックス表示」のキャリバーを採用することに決まった。文字をグリーンにしたのは「昔のパソコン画面」のイメージから。

側面のボタンも親近感のあるデザイン。右側面の真ん中のボタンを押すと、表示されている文字の大きさを変えることができる。

セイコーらしさを感じつつ、
過去のセイコーにないデザインとは?

アナログウオッチなのかデジタルウオッチなのかすら、不確定な状況からの商品開発。チームとしてまず定めた方針が、当時のウオッチにはあまり見当たらなかった「人を和ませるようなプロダクト」だった。今の言葉で言うと「ゆるいデザイン」。だが、その中でもセイコーの技術感や先進感は伝える必要があると考えた。その時、チーム内で共有されたのが、インスタントカメラのような「技術と可愛らしさの同居するデザイン」というコンセプトだった。

チームリーダーが提示した「インスタントカメラ」により、デザインのトーンをメンバー内で共有。そこからデザイン作業が加速していった。

商品開発中に描かれたスケッチのひとつ。プロジェクトの自由度の高さゆえ、アナログ・デジタルを問わず、様々なデザインスケッチが描かれた。

プロダクト開発中に描かれたバンド部分のスケッチ。さまざまな可能性を検討した結果、ウレタン製のバンドが使用されることとなった。

「昔のパソコン」を想起した瞬間、
デザインが一つの方向へ動き出した。

デザイナー陣がスケッチを描き、キャリバーなどを検証していく。そんなある日、ドットマトリクス表示のキャリバーを目にした平松の頭に、自身の幼少時代(80年代)のパソコンが思い浮かんだ。その「懐かしさ」をゴールイメージに、デザインが動き出す。「h-timetron」というネーミングや、ロゴマーク・パッケージ・グッズ・プロモーションまでをチーム内で推進。「企画・デザインに留まらず、みんなでやりたいことを最初から最後までやり通したプロジェクト」となった。

「h-timetron」のhは「Happy」の頭文字。豊かな未来への想いを込めた。「Timetron」は、エレクトロニクス感のある「造語」として考案。

プレスに向けて配られたキット。オリジナルTシャツも同封されている。このような施策も、プロジェクトチーム内でアイデアを出し合った。

プロダクトのパッケージもチーム内で制作。こちらも、黎明期にパソコンの入れられていたダンボール箱をイメージさせるようなデザインだ。

豊かな未来への憧れを込めて、
見る人に幸福を感じさせるデザイン。

この商品が示すのは、技術の先にある豊かな未来。そのために、グリーンの液晶文字、角アール(丸み)の外観などの細部にこだわり、パソコンのボディを彷彿とさせるアイボリーなどカラーバリエーションでも個性を打ち出した。人気を博したh-timetronは翌年に第2弾を発売。テーマは「宇宙旅行」。宇宙がより身近になるであろう21世紀への思いを込めた。発売から約20年を経たh-timetronシリーズ。今もそのプロダクトからは普遍的な、人類の未来への憧れが感じられる。

第一弾モデル(1999年5月発売)

SCWA001

SCWA003

SCWA005

SCWA007

SCWA009

限定モデル(2000年1月発売)

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SCWA013

第二弾モデル(2000年5月発売)

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SCFP005

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