02PUT ON TIME
「腕に着ける」の概念を覆す、
遊び心あふれるウオッチ。
ベースモデルに選んだのは、1975年に発売されたセイコーのダイバーズウオッチ。ツナ缶に似たその形状から、セイコーファンの間で「TUNA」と呼ばれ愛されているモデルです。深海における行動を支える安全設計を徹底的に突き詰めたその形状は、とにかく個性的。このダイバーズウオッチをまったく違うカテゴリーに昇華すれば、きっと「セイコーらしさは残しながら、今までにない新しい腕時計を作れる!」と強く確信して、アイデアを練り始めました。そして生まれたのが、この「PUT ON TIME」というプロダクトです。




ボタンのような形状のデザインのベースにあるのは、ツナ缶に似た形状のユニークなダイバーズウオッチ。全く新しい世界への転生だ。
発想のヒントになったのは、ごく日常的なことでした。それは、何気なく毎日行っている、服を着脱する時のボタンの留め外し。腕時計の着け外しもそのボタンの留め外しと同じくらい気軽にできれば、もっと多くの人に着けてもらえるのではと考えました。服のボタンは滑らかな曲面でできており、指で触った時にとても心地良いですよね。同様の感触を目指して、ガラス部分まで含めたラウンド形状と繊細な研磨加工にこだわりました。


腕時計本体に「留める」「外す」という要素が加わり、通常の腕時計の制作過程とは違った視点での「触り心地」を追求した。


裏ぶた側に取り付けられたパーツのネジを外すことで、腕時計としてだけでなく様々な場所に着けることができる。


たとえば、ジャケットのボタンを交換して服の雰囲気変えを楽しむ。PUT ON TIMEは、そんな日常の遊びをヒントに生まれた。
機械式腕時計を小型化する一方で、触り心地・留め心地が良いサイズを探るという試行錯誤の繰り返しでした。今回の作品は「ボタンの様に簡単に腕に留められること」に重点を置いたプロダクト。ケースの構造はもちろん、バンドの形状や時計本体の取り付け方法も一から考えました。これまでの腕時計との違いを実感してもらえるとうれしいですね。そして、靴や帽子のように、その日の気分や服とのコーディネートを楽しんでいただきたいと思っています。


朝、服を着替えるように、自然に簡単にウオッチを付け替えたい。そんな思いの詰まったプロダクトだ。


内浦雄大|Yuta Uchiura
輸送機器メーカーでバイク・スクーターなどのデザインを手掛けたのち、2018年セイコーウオッチに入社。現在はプロスペックスを中心としたデザインを担当。

