01Radiant Time
それは、東京の街を明るく照らす
「タイムレスな輝き」。
金属をいかに歪みなく綺麗に磨くか。時計製造の長い歴史の中で様々な研磨技術が研究されてきました。中でも私が注目したのは「ザラツ研磨」と呼ばれる加工技術です。ザラツ研磨とは、研磨剤のついた平らな回転盤に部材を押し当てながら磨く加工技術です。「均一な平滑面」を作ることで美しい鏡面を生み出すことができます。そして、デザインのベースとなるモデルには、70年代に製造されたキングセイコーを選びました。シンプルで大胆な造形が特徴的なこのモデルは、ザラツ研磨がもたらした歪みのない鏡面により、50年以上経った現在でも強い輝きを放っています。
今回のプロジェクトでは、「ザラツ研磨」の技術を活かしながら、自分自身が魅力的だと思える理想の腕時計のかたちを追求しました。デザインの最大の特徴は多数の平面によって構成したケースの造形です。丁寧に磨き上げた鏡面のケースは、光を様々な方向に反射させキラキラと輝きます。また、ダイヤルは、外周に「分目盛り」としても機能する60分割の峰状の立体造形を施しました。1つの造形に装飾と機能の2つの役割を持たせることで、腕時計の理想のかたちを作り出すことを目指しました。
細部のバランスにこだわり、シミュレーションを何度も繰り返しました。ぜひ、ケースやダイヤルが放つ光の美しさにご注目ください。ザラツ研磨で創り出した、唯一無二の輝きを実感いただけると思います。少しでもポジティブな気持ちになっていただけるようなプロダクトを、セイコーがから発信したい。そんな思いを込めて、腕時計を着ける人の心を絶えず明るく照らす腕時計をデザインしました。