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Vol.3 時計づくりは「化粧」である。 Vol.3 時計づくりは「化粧」である。

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超ナチュラルな「透明感メイク」で勝負する!

いまセイコーの時計は、その多くが「ソーラー発電」で動いています。電力を生み出す「太陽電池ユニット」が内蔵されていて、その上にダイヤルがのっています。そして、このダイヤルなんですが、単純な1枚の板というわけではなく、7つや8つの層が重なってできています。この層をなす構造も、何だか化粧に似ていますね。

ただ、ソーラー時計のダイヤルのベースとなるのは、人間の顔とは違い「透明のプラスチック」です。これは、発電用の光を取り込むために、光を透過させる必要があるからです。技術の進化で、今はその透過率がそれほど高くなくても大丈夫なのですが、やはり、それなりの透明度は必要になってきます。

「技術的な制約」だった「透明」だけど、それが結果的に「透明感のある顔(ダイヤル)をつくる」ための大きな武器になっている。そこが面白いところです。降り注ぐ光の一定量を透過させつつ、その一部を反射させる。その透明感とさまざまな色の絶妙な重なりが、人を惹きつける、魅力的な顔をつくりあげていくのです。

ソーラー時計のダイヤル(例)/ 1層:上面パターン印刷/ 2層:上面ハーフマット塗装/ 3層:上面凹凸加工/ 4層:ダイヤル本体/ 5層:下面パターン印刷/ 6層:下面塗装/ 7層:ハーフミラーシート/ 8層:ソーラーセル
光の反射がなければ、視認性が保たれない。その一方で、光を透過さないと発電ができない。その「光の反射」と「光の透過」のバランスを考えながら、複数の層を重ねてプロダクトを完成させる。
ソーラー時計のダイヤル(例)/ 1層:上面パターン印刷/ 2層:上面ハーフマット塗装/ 3層:上面凹凸加工/ 4層:ダイヤル本体/ 5層:下面パターン印刷/ 6層:下面塗装/ 7層:ハーフミラーシート/ 8層:ソーラーセル
光の反射がなければ、視認性が保たれない。その一方で、光を透過さないと発電ができない。その「光の反射」と「光の透過」のバランスを考えながら、複数の層を重ねてプロダクトを完成させる。

メイクアップの秘密テクニックが、ダイヤルへ舞い降りた。

このセイコー エクセリーヌ(品番SWCQ089)のダイヤルは、土台となる透明の素地の上にまず白い塗装を施して、その上に薄くスライスした白蝶貝を前面に重ねています。でも、それだけじゃありません。さらに工夫を加えることで、独特な美しさを持つ「顔」を作り上げているのです。

セイコー エクセリーヌ(品番SWCQ089)の正面写真。白ダイヤル、トノー型。
大人の女性にふさわしいドレスウオッチブランド「セイコー エクセリーヌ」。その時計の立ち位置にふさわしく、「気品に満ちた顔立ち」をしたデザインが多い。
セイコー エクセリーヌ(品番SWCQ089)の正面写真。白ダイヤル、トノー型。
大人の女性にふさわしいドレスウオッチブランド「セイコー エクセリーヌ」。その時計の立ち位置にふさわしく、「気品に満ちた顔立ち」をしたデザインが多い。

全体に均等な厚さで白蝶貝を重ねたあと、ダイヤルの外周部にだけ白い塗装を重ねています。そうすることで、中心部では貝の質感(模様)を印象的に見せつつ、ダイヤルの端にいくにつれ明るいグラデーションになっています。これは、ケースの淵の影が落ちて、どうしても「暗い印象」に見えてしまいがちなダイヤルの端の部分を、できるだけ明るく見せてあげるためです。

実を言うとこれは、以前に著名なメイクアップアーティストが「顔の影が落ちる部分を明るいグラデーションにすると、顔全体を明るい印象にできる」と話されているのを聞いたことがあって、それを参考にして思いついたアイデアです。それくらい、ダイヤルと顔のメイクには共通点があるのだと思います。

品番SWCQ089ダイヤルパーツ拡大写真
ダイヤルだけをこのような拡大写真で見ると、ダイヤルの中心部分と周辺部分で、色味が違っていることがよくわかる。この小さなこだわりが、時計の印象を大きく左右する。
品番SWCQ089ダイヤルパーツ拡大写真
ダイヤルだけをこのような拡大写真で見ると、ダイヤルの中心部分と周辺部分で、色味が違っていることがよくわかる。この小さなこだわりが、時計の印象を大きく左右する。
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