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Vol.3 時計づくりは「化粧」である。 Vol.3 時計づくりは「化粧」である。

HomeStoriesVol.3 時計づくりは「化粧」である。

時計のデザイナーたちの間で、時計のダイヤルのことを比喩的に「顔」と呼ぶことがある。「この時計は、顔色が良くないね」「顔がぼやついているよ」といった具合に。そのプロダクトに美しさを与えることがデザイナーの仕事であるならば、時計をデザインすることは、その顔(ダイヤル)にメイクを施すことだとも言える。今回はデザイナーがダイヤルをデザインするときの発想やこだわり、その時代における進化について、デザイン統括部の相原由佳が語ります。(2017.10.27)

相原 由佳|Yuka Aihara
2012年、セイコーウオッチ入社。「セイコー ルキア」などセイコーの国内向けレディスブランドを担当後、現在は「Seiko Premier」「Seiko TRESSIA」など、Europe / U.S.A.向けセイコーブランドを担当している。手掛けた主なモデルは、セイコー ルキアの「ラッキーパスポート」シリーズなど。

セイコー ルキアは日本人顔? 時計にはそれぞれ顔つきがある。

腕時計というプロダクトの中心であるダイヤルを見つめると、その輪郭の中に、さまざまなパーツがひしめきあい、独自の表情をつくりだしています。見れば見るほど、人間の「顔」に近い存在に思えてくるから不思議です。ダイヤルの上にある「インデックス」(時刻を指し表すために配置された目盛り)は目のようだし、その上を通り過ぎるは「眉毛」のよう。国産の時計は日本人っぽい顔のものが多いように思えるし、海外の時計はやはり外国人のような風貌に見えてきます。

品番SSQW037の正面写真
ブランド誕生から20年以上を経て、さまざまなデザインを世に送り出しているセイコー ルキア。2017年10月に発売されたばかりのこのセイコー ルキア「SSQW037」は、上品でさりげない華やかさを感じさせる。
品番SSQW037の正面写真
ブランド誕生から20年以上を経て、さまざまなデザインを世に送り出しているセイコー ルキア。2017年10月に発売されたばかりのこのセイコー ルキア「SSQW037」は、上品でさりげない華やかさを感じさせる。

もちろん、ブランドによってもその顔つきは違うし、同じブランドでも、ひとつひとつ異なる顔をしている。ちゃんと個性がある。たとえば、このようにセイコー ルキアの時計を4つ並べてみると。それぞれ日本人っぽい顔つきだとは思うのですが、そこには「かわいい顔」もあれば、「凛々しい顔」「色っぽい顔」のものもあります。

さまざまな顔立ちのセイコー ルキアたち。製品を選ぶと、そのデザイン(顔つき)について、さらに詳しく知ることができます。
注:製造中止により、ご購入いただけない場合があります。

時計づくりの技に、チークあり、アイラインあり。

そしてさらに、デザイナー視点でいえば、そのダイヤルをデザインすることは、まさしく人間の「化粧」のようだと思うことが本当に多くあるのです。たとえば、私たちは複数の層を重ね合わせて、ダイヤルにうっすらとグラデーションをつけたりするのですが。これは女性の化粧の「チーク」や「ハイライト」と同じように、顔(ダイヤル)の印象をぱっと明るく、華やかにするという効果を狙っています。

このセイコー ルキア(品番SSVW030)に印刷されたローマ数字を見てください。その書体の端っこが大げさに跳ねあげられ、強調されているのがわかると思います。

専門用語で「セリフ」と呼ばれているのですが、これはメイクの時、目元にアイラインを引くことに非常に近いと思っています。どちらも、そのラインがあることで、パーツの形状をデフォルメしています。どうでしょうか、「セリフ」が無いものと見比べてみると、「セリフ」があるほうが色っぽい顔になっていると思いませんか?

品番SSVW030に印刷されたローマ数字について、セリフの有無、Before/Afterの2つの比較画像
ご覧のように、ローマ数字に「セリフ」をつけるかつけないかで、こんなにも印象が違ってくる。直線的な文字に、曲線的な美しさが加わる事で、女性らしい色っぽさが生まれるのだ。
品番SSVW030に印刷されたローマ数字について、セリフの有無、Before/Afterの2つの比較画像
ご覧のように、ローマ数字に「セリフ」をつけるかつけないかで、こんなにも印象が違ってくる。直線的な文字に、曲線的な美しさが加わる事で、女性らしい色っぽさが生まれるのだ。
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