by Seiko watch design

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異名を持つ時計たち。by Seiko watch design Vol.2

異名を持つ時計たち SAMURAI篇 サムライ

武士道を貫く侍のように凛とした雰囲気を醸し出す。刀で切り落として出来上がったような全体造形が、シャープで割り切りの良い、ダイバーズウオッチらしからぬ鋭さを持つ。

[ 検証 ] なぜ、その異名が付けられたのか?
SAMURAI篇

岸野:「SAMURAI」というニックネームを聞いた時に、この時計は海外からの目線だと日本っぽさを感じるデザインなんだ、と目から鱗が落ちました。確かにこの時計からは、侍と呼びたくなる要素を感じます。ケースやカン足(バンドとの接合部)の上面が日本刀でスパッと切り落とされたようにシャープな面で構成されています。
文珠川:横から見ると兜っぽい。肩が張り出した迫力のあるケースは鎧にも見えますね。鎧の下の身体も少し見え隠れしている様にも感じます。
岸野:ベゼルの表示板上のアワーマークが先端に向かって細くなっているので、鋭い刃をイメージさせる。ベゼル横の網目模様が日本刀の柄巻きの菱形であったり、カン足横の鋲が目釘を想起させたり、よく観察するとサムライと呼ばれる要素が浮かんで見えてきます。

腕時計としてかなり個性的な形状をした「SAMURAI」と呼ばれる時計ついて考察をはじめるふたり。

文珠川:他のダイバーズウオッチではあまり見ない、直線的で鋭角なデザインに実直な武士の佇まいを感じたのかも知れません。だから、「SAMURAI」と呼ばれるようになったと思うんです。
岸野:私も同感です。こういう垂直水平を想起させるディテールは、日本古来からのものという印象を受けます。きっちり感、すっきり感が和の形に通じているのを感じます。
文珠川:この潔くさっぱりしたカタチが、他には無い個性になっていると思うのですが、その潔さが日本的な武士の思想を表現しているのではないか?そう言うと言い過ぎかもしれませんが…。
岸野:たぶん何も言わなくても、このディテールにSAMURAIを感じる。そこなんでしょうね。

さまざまな角度から時計を眺め、さまざまな角度から日本刀を眺める。どうやら、この時計が「SAMURAI」と呼ばれるのには、複合的な理由があるのかもしれない。

異名を持つ時計たち TURTLE篇 タートル

ダイバーにとってのウミガメは幸運の象徴。ウミガメのように多くのダイバーに愛されているダイバーズウオッチである。

[ 検証 ] なぜ、その異名が付けられたのか?
TURTLE篇

岸野:ファンの間では「TURTLE」の愛称で呼ばれているこのダイバーズウオッチ。パッと見て、シルエットが亀っぽい印象はありますね。横から見ると甲羅が乗っているように見えます。ひっくり返して裏面を見ても亀っぽいですね。
文珠川:細かいところでいうと、回転ベゼルの側面テクスチャもギザギザしていて甲羅の模様っぽいですよね。
岸野:このベゼルのアラビアのフォントも丸みのあるデザインで、時計の盤面のアワーマークや秒針の先端にも丸形状が使われています。この丸みが亀のイメージにつながったのでしょうね。
文珠川:またこの四隅のカン足形状が、亀が足を踏ん張っているような力感を感じますね。

「TURTLE」の異名を持つ時計のデザインについて語り合うふたり。今回の検証のために「生きたカメ」も用意した。

岸野:亀はダイバーの間では海の守り神と言われていますよね。そういった意味でもタートルの異名はダイバーにとって縁起の良い物なんだと思います。
文珠川:ウオッチデザインってそういった、「想い」をカタチにしてゆく行為でもあるから、まさにこのタートルはダイバーたちにとってお守りみたいなものになると思いますよね。
岸野:そうですよね。亀ってみんなに愛される存在だと思うんです。この時計にも同じように愛着をもってもらえたことで、同じ「TURTLE」というニックネームがつけられた。これはとてもうれしいことです。

実際のカメと「TURTLE」と呼ばれているダイバーズウオッチとの比較。こうすると、工業製品であるウオッチが、さらに「愛嬌のある一匹の生き物」のように見えてくるから不思議だ。